糸の辞典

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長繊維糸とは?

糸には大きく分けて、長繊維糸(フィラメント糸)と短繊維糸(スパン糸)があります。

長繊維糸は1本の繊維が切れておらずに連続していて、その1本だけでも糸としての体を成す長さがあるもの。



収穫された綿花のワタ、刈り取られた羊毛など、シルクを除いたほとんどの天然繊維の1本1本は数cm程度の長さですから長繊維糸にはなり得ません。基本的に長繊維糸は化学繊維です。繰り返しになりますが、シルクを除いて。

そして、長繊維糸の多くは上の写真のように何本もの糸が束ねられています。長繊維はフィラメント、それが何本も束ねられているので、そうした状態の糸を「マルチフィラメント」、一方でテグス(釣り糸)のように1本のみの場合には「モノフィラメント」と呼ばれます。

世の中の多くの長繊維糸はマルチフィラメントです。

理由はいくつかありますが、最もわかりやすい理由の一つは糸の柔らかさです。出来上がりの糸の太さが同じであったとしても、それがたった1本のフィラメントである場合と、数十本の細いフィラメントの束であった場合とでは、後者の方が柔らかい糸になります。

例えばトンカツを作るとき、1枚の豚肉でやるよりも、薄くスライスして何枚も重ねて同じ厚さにした方が柔らかい、それと同じ理屈です。

また糸の太さに対してフィラメントが多い(=フィラメントが細い)場合には、柔らかくなるだけでなく、糸の表面積が大きくなります。それを機能として用いたものの一例がマイクロファイバー(極端に細いフィラメントを束ねた糸)を使用するメガネ拭きです。透け透けでつるつるの生地よりも、メガネのレンズに対して接地面積の大きい生地の方が汚れが拭き取れるという訳です。

最後に、マルチフィラメント(フィラメントの多いものと少ないもの)とモノフィラメントの断面のイメージをイラストにしたのでご覧ください。