番手(糸の太さ)の説明、今回は綿番手と麻番手です。
その前に、こうした番手の方式は大きく分けて2通りあります。
まず、一定の長さを基準にして、その重さで太さを表す恒長式。10000mを基準にして、その重さを太さにしているデシテックスは恒長式になります。基準にする長さが9000mになっただけのデニールも同様。
もう一方は恒重式で、こちらは一定の重さを基準にして、その長さがどれくらいあるかで太さを表します。
この説明だけではなんとなく同じような気がしてしまいますが、まったく違います。
恒重式の場合、「1の重さ」で「10の長さ」が1と決まっていたら、「1の重さ」で「20の長さ」は2になるので、この方式では数字が大きいほど細くなるわけです。
綿番手は恒重式。
1ポンドで840ヤードが綿番手の1番です。
1ポンドで1680ヤードなら綿番手の2番。
つまり、1ポンド当たり840ヤードのN倍が、その糸の太さN番になります。
デシテックスが「dt」のように、綿番手にも記号があり、綿番手には「s」を使用します。綿番手の10番なら10sです。
綿番手は英語で「cotton count」。それでも記号は「c」ではなく「s」です。
なぜでしょう?
申し訳ありませんが、私にもわかりません。
ネットで探すと「sはspan(短繊維)のs」だという記事を見かけますが、その掲載元は公的機関のHPでもありませんし、裏付けも乏しく、そもそも他にいくつも短繊維糸はあるのに、綿だけが「spanのs」と言われても合点がいきません。
私としては引き続き、「sの理由」を調べていきたいと思います。
麻番手も綿番手と同じく、ポンド・ヤード法を用いての恒重式ですから似たようなもので、麻番手では1ポンドで300ヤードが1番となります。
麻番手の記号は「R」ですが、ほとんど使いません。まず麻番手自体が麻100%の糸にしか使われませんし、麻紡績会社さんの商品リストを見ても「R」を目にすることは殆どなく、わざわざ「麻番手」と書いてあります。
申し訳ございませんが、この「R」の理由も私は推論にすら至っておりません。
綿番手に話を戻しまして、綿番手は綿以外の素材でも使われます。
例えば、ポリエステルやレーヨンの短繊維糸も綿番手で表記されます。
基本的にはその糸の紡績方式次第で、どの番手を使用するかが決まるのですが、もっと単純にして、ウールなどの動物性繊維、ウールの代替品とも言えるアクリル、そして麻100%の糸、それら以外の短繊維糸はすべて綿番手で表記されていると思ってほぼ間違いありません。
ちなみにシルクの短繊維糸は綿番手ではなく、ウールなどと同じ毛番手です。
下にあるのは、異なる番手に換算するための計算式です。
「デシテックスとデニール」の回に貼付した番手早見表に載っていない番手でも、この計算式で求められます。